【アルムナイ入門】退職の種類とその定義を復習

ひとくちに「退職者」と言っても、辞め方は十人十色/ケースバイケース。企業が「アルムナイ・リレーション」を考える際、「退職者」を一緒くたにとらえるのではなく、セグメント分けする必要があります。

そのセグメント分けの第一歩として、アルムナビでは今一度「退職の種類とその定義」を確認しておこうと考えました。そこで、今回は社会保険労務士の勝又至子氏に寄稿してもらいました。

退職とは、「労働契約の終了」です。民法では、「第八節 雇用 」において、

  • 「第626条 期間の定めのある雇用の解除 第627条期間の定めのない雇用の解約の申入れ」
  • 「第628条 やむを得ない自由による雇用の解除」
  • 「第629条 雇用の更新の推定等」
  • 「第630条 雇用の解除の効力 第631条 使用者についての破産手続きの開始による解約の申入れ」

と規定しています。

民法における退職の種類

退職には、「労働者の意思により労働契約が終了する場合」「労働契約により、あらかじめ終了の時期の定めがある場合」「使用者の一方的な意思による場合」があります。

労働者の意思による場合」は労働者の自己都合による退職となります。退職勧奨や早期優遇なども、自己都合に該当することも考えられます。

あらかじめ終了の時期の定めがある場合」は、定年退職やパートタイム労働者の契約期間満了の退職があります。

そして、「使用者の一方的な意思による場合」は、退職勧奨や早期優遇などの会社都合もありますが、解雇といわれているものがあります。

解雇については労働基準法等で詳細な解雇制限の規定があります。解雇には「普通解雇」「懲戒解雇」「整理解雇」があります。

普通解雇」は、遅刻、欠勤、能力不足など改善の見込みがないなど就業規則等違反、労働者の責に帰すべき事由によるものです。

懲戒解雇」はあきらかに重大な法令違反など企業秩序違反行為があった場合です。

いわゆる「整理解雇」は、裁判例で、

  1. 経営上の必要性が客観的に認められるか
  2. 解雇回避の努力を尽くしたかどうか
  3. 解雇対象者の選定基準が合理的かどうか
  4. 整理解雇の必要性、時期、方法、規模、人選基準など労使間での協議し、納得できる努力を尽くしたかどうか

という四要件があります。

労働基準法22条で退職時等の証明の規定があり、使用者は、請求があれば、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)について証明書を遅滞なく労働者に交付しなければならないことになっています。なお労働者が請求しない事項は記入することはできません。

「うちの会社はアルムナイ・リレーションなんて関係ない」と感覚的に考えてしまう企業も、もしかしたら、この「退職の種類とその定義」をベースに、退職者をマッピングしていくことで、アルムナイとの関わり方が見えてくるかもしれません。

寄稿

税理士・社会保険労務士 勝又 至子さん

平成3年 税理士登録、平成10年 社会保険労務士登録。平成9年度から平成23年度まで東北税理士会仙台北支部幹事、平成16年度から平成26年度まで東北税理士協同組合常務理事、平成16年度から平成26年度まで東北税協共済会理事、平成14年7月から平成18年6月まで仙台市資産等公開審査会委員、平成23年から仙台市メディアテーク委託業者選定審査会委員を歴任。