会社を卒業するということ

2017年07月11日

――私、会社を卒業します。

10年以上前から、この「卒業」という言葉が使われるたび、「あいつは卒業する資格があったのか?」「卒業試験に受かったという認識なのか?」と言われたり、退職する人が少し自虐的に「何も達成出来なかったので卒業ではなく中退します」などと言ったりすることがありました。

はたして日本語の使い方としてはどうなんでしょうか?ウィキペディアでは「卒業は、学校の規定の全課程を修了すること」となっており、辞書などでも同じです。日本語で「卒業」という言葉を使うのは文法的に正しいとは言えないようです。

卒業という動詞としてではありませんが、英単語としての「アルムナイ」はどうなんでしょうか?

実は、アルムナイとは卒業生である必要はなく、出身者であればアルムナイの条件を満たします。前記事「経営者が注目する「アルムナイ」とは?」では、以下の訳を引用していますが、

“alumni 【名】alumnusの複数形。(男子)卒業生、 同窓生、 校友”(Weblioより)

英語辞書では以下のように説明されます。

1. a graduate or former student of a specific school, college, or university.
2. a former associate, employee, member, or the like

要するに、1の教育機関のアルムナイに限ってみれば、アルムナイであることは卒業生(Graduate)であるための必要条件であり、アルムナイだからといって卒業生とは限らないということです。実際にリード大学を中退したスティーブジョブズもリード大学の著名なアルムナイ一覧に含まれています。

次に2の企業などの組織のアルムナイを見てみると、当然ながら概念がないため卒業(Graduate)という言葉が使われておらず、以前の従業員(former employee)と説明されています。そのため、英語で「I am graduating from Company A」のような使い方はされません。

とはいえ、日本語でも「会社を卒業する」という言い方は文法的に正しくないと書きましたが、だからといって使ってはいけないとは思いません。肝心なのは、送り出す会社とアルムナイ両者の関係値でしょう。退職時にお互い「うちの会社の卒業生だ!」「あの会社の卒業生なんです!」と胸を張って言い合えるような関係でありたいですね。