退職者との交流が「自社で頑張るモチベーション」になる?アンケートで見えたアルムナイとつながり続けるメリット

2019年05月27日

1社に勤め続けることが当たり前だった頃は「退職者は裏切り者」と扱われてしまうことも多く、退職後に関係性が切れてしまうのは一般的でした。

ところが転職が珍しくなくなった今、「アルムナイ(退職者)とつながりを持ち続ける」方向にシフトする会社が増えはじめています。

では、アルムナイとのつながりを持ち続けることで、どんなプラスの影響があるのでしょうか? その答えを探るべく、会社員、公務員、経営者を対象としたアンケートを実施しました。

<目次>

・ 多くの人が「つながりたいアルムナイ」に ”現在の仕事に役立つ何か”を求めている
アルムナイと交流することが「現在の職場で仕事を頑張る糧」になっている
・「つながりたくないアルムナイがいる」人は約6割。「辞め方」が関係性に大きく影響している

_

多くの人が「つながりたいアルムナイ」に ”現在の仕事に役立つ何か”を求めている

_

最初は、アルムナイの中に現在もつながっている、あるいは今後つながりたいと思う人がいますか?という質問。9割の人が「いる」と回答する結果となり、ほとんどの人が退職後もアルムナイとの関係を継続することに前向きであることがわかりました。

_

アルムナイとつながりたい理由について聞いてみると、最も多かったのは「仕事に関係なく友人として付き合いたいから」(81%)という回答でした。

 

————————————————————

「つらい時期を共に乗り越えた戦友とも呼べる友人は稀で、そのような繋がりは人生を通して大切にしたいから」

「仕事を辞めたとしても、人間関係は終わらないから」

————————————————————

毎日のように顔を合わせ、同じ目標に向かって頑張る中で、仲が深まっていくのは自然なこと。友人として引き続き交流したいと思う人が多いのも納得です。

続いて多かったのは「今の仕事へのアドバイスが欲しいから」(36.5%)、「仕事上で付き合いたいから(受発注や協業など)」(34.9%)というもの。双方に共通しているのは、”現在の仕事に役立つ何か”をアルムナイに求めているという点。その具体的な内容がこちら。

————————————————————

【一緒に仕事がしたい】

「ビジネス上繋がれそうな業種、職種の方が多数いるので。実際にwin-winになる内容であれば声を掛けたりもしてます」

「業種の世界が狭いため、協力しあって、お互い成功につながったらいいと思う」

「前職で一緒に仕事をしていた人と、また別の形で仕事をできるのは嬉しい」

 

【”中のことを知る社外の人”の意見が聞きたい】

「自社のサービスについて、中からも外からも知る人にアドバイスしてほしいし、シナジーも出したい」

「部署異動した人に話を聞く感覚で新天地のことを聞いたり、自分の仕事内容を客観的に聞いて軌道修正に役立てたりしたい」

 

【”中のことを知る社外の人”に仕事をお願いしたい】

「自社の商品や特徴への理解が深く、最小限の説明で発注した仕事に対する高いクオリティが期待できるため」

「自社の仕事内容や社風をよく分かっている経験豊富な人に引き続き仕事をしてもらう方が、全くの新人を雇って育てるよりもコストがかからないから。社外の情報を取り入れる上でも、さまざまなところに足場を持っている人材が活躍してくれることが望ましいと感じる」

「退職後にフリーランスとして働いている方に発注して仕事をしてもらっています。内情がわかっているので、依頼する側としてもやりやすいです」

————————————————————

アルムナイは言い換えれば、「社内の事情やサービスについての理解がある外部の人」。会社についてよく知った上で意見をもらえたり、仕事をお願いできたりすることに魅力を感じる人が多くいるのは納得の結果です。

また、印象的だったのは「案件紹介をしてほしい」といった一方的な希望ではなく、「一緒に仕事をしたい」「お互いのメリットにつなげたい」と自分自身とアルムナイの双方に良い形を望んでいる声が目立ったこと。アルムナイへの愛着や信頼が垣間見えます。

一方で、「業界が狭いので、悪い噂が広まる可能性もあるため、退職者と接点を持つことが大切と考えている」と、戦略的にアルムナイと交流をしている人も。悪評を阻止するだけでなく、アルムナイから話を聞くことで、自社の組織や仕事のやり方を改善するヒントも得られそうです。

アルムナイと交流することが「現在の職場で仕事を頑張る糧」になっている

では、実際にアルムナイとつながったことでよかったと思うことがある人はどのくらいいるのでしょうか?

84.3%と、大多数の人が「ある」と回答。一体どんないいことがあったのでしょう?

————————————————————

【ビジネスが拡大した】

「新しい取引が生まれたし、人脈が繋がった」

「事業機会に繋がる人を紹介してくれた。自分が転職した後も、前職の独立したアルムナイと新規取引に繋がった」

「仕事面で情報交換をすることができ、新たな取引や仕事につながった事例が多い」

「取引関係につなげることができました」

「取引、発注実績多数」

 

【自社の仕事にプラスになった】

「スキルレベルの高いアルムナイの方に自社の仕事に参画してもらったことで、単に業務委託で仕事をしてもらっているだけでなく、社員のスキルアップにもつながっている」

「人脈不足で苦心していたプロジェクトがあったが、頼りになる方を紹介してもらい、後押しになった。アルムナイが自社にフィットした方を紹介してくれたので、大変助かった」

 

【モチベーションが上がった】

「違う道でそれぞれ頑張っている話を聞いて、元気が出た」

「とにかく楽しい仲間!会うと刺激がもらえるし、モチベーションになる」

「自分の知らない世界が広がった。また、お互い所属していた時の共通の価値観で会話できるスムーズさが心地よい。転職先で新しい事にチャレンジしている刺激的な話もまた心地よい」

 

【自社で働いていることに自信が持てた】

「転職先で良いポジションを担っており、自社のキャリアに市場価値があることを感じられたから」

「同年代でも転職先で活躍されている事実が心強いから」

「転職先で活躍しているので、どこに行っても活躍できる証明になった」

 

【視野が広がった】

「仕事の情報交換ができ、自社のサービス向上につながった」

「業務上のアドバイスを他社視点でもらうことができた」

「現在自分が属している環境が特殊であることを改めて知ることができたから」

「業界のことや社内政治などを理解した上で、客観的な意見がもらえる」

「自社サービスへの客観的意見をフィードバックしてくれた」

 

【会社の信頼につながった】

「退職した後も会社の良いPRをしてくれている」

「アルムナイが現在在籍している会社のサービスをお客様に紹介することで、信頼を得た」

————————————————————

取引先が増える、アルムナイから自社にあった人を紹介してもらうといった”会社として”良かったことと、モチベーションや自信につながった、視野が広がったといった”個人として”良かったこと。アルムナイとつながっていて良かったことには大きく2つの側面があることが見えてきました。

意外と思われるかもしれないのは、フリーコメントに「自分が転職をするときの参考になった」という意見が少なかったこと。Q2のアルムナイとつながりたい理由を聞いた質問でも、「転職を含め自分のキャリアについて相談したいから」という回答は13.5%と少数。それ以上に、自分の仕事を見直したり、奮起したりと、「アルムナイの話が現在の職場で仕事を頑張る糧になっている」という声が目立ちました。

「つながりたくないアルムナイがいる」人は約6割。
「辞め方」が関係性に大きく影響している

これまでに「つながりたいアルムナイ」について見てきましたが、反対に「つながりたくないと思うアルムナイ」はどのくらいいるのでしょうか?

「いる」と答えたのは約6割。なぜそのように思うのか、その理由がこちらです。

一番多かったのは「仕事の面で信頼できない人だったから」(55.2%)。2番目には僅差で「人として相性がよくなかったから(信頼していないから)」(54%)と続きます。仕事相手としても友人としても、信頼関係がない人と交流したいとは思わないもの。この2つの回答を選んだ人が多いのは当然のことと言えそうです。

注目したいのは、3番目に多かった「良い辞め方ではなかったから」(36.8%)。アルムナイ本人の人柄や一緒に働いていた期間の仕事ぶりなどが影響する上位2つの回答と異なり、こちらは一緒に働いていた期間のごく一部。それにも関わらず、辞め方が退職後の関係に大きく影響してしまうことがわかりました。

ただ、辞め方と「辞めさせ方」は表裏一体。退職時の会社側の対応に問題があったために、結果的にアルムナイが良い辞め方をできなかったというケースもあるのではないでしょうか?そこで次回は引き続きアンケートの結果から、「辞め方」と「辞めさせ方(送り出し方)」について考えていきます。

 

>>amazonギフト券1000円分が当たる!自分および同僚の「仕事の辞め方」に関するに関するアンケート募集中です

 

【アンケート調査概要】

  • 調査方法:会社員・公務員・経営者の方に向けたWebアンケート
  • 調査期間:2019年4月30日~5月19日
  • 有効回答者数:140名

 

文:天野夏海