「退職後も古巣をつかい倒せ」「孤独になるくらいなら頼ってほしい」電通アルムナイと電通社員に聞く、双方がビジネスでつながる意義

2019年12月02日

PROFILE

株式会社電通 キャリア・デザイン局 キャリア戦略部 シニア・ディレクター
大門 孝行 さん

1992年㈱長銀総研に入社し経営/組織人事コンサルティングに従事。2001年㈱電通に入社後は、戦略プランナー、メディアプランナー、アカウントプロデューサー、プラニングディテクターを経て、2019年1月よりキャリア・デザイン局キャリア戦略部シニアディレクターとしてHR領域に従事。

株式会社ビデオマッチング 代表取締役CEO
満居 優 さん

中央大学卒業後、電通入社。メディア局や事業開発セクションにて、ローカルプロモーション・中小企業ビジネス・インバウンド事業のプロジェクトリーダーを歴任後退職。2018年に株式会社ビデオマッチングを創業し、求職者と企業を動画を通じてマッチングするプラットフォーム「ビデオマッチング」を運営。

2019年10月31日より、アルムナイ(退職者)とのネットワーク創りを公式に開始した電通

複数のアルムナイから「卒業生同士だけでなく、現役の電通社員ともつながりたい」という声があがったことから公式化が決定したそうですが、電通の現役社員とのつながりは、どのような恩恵をアルムナイにもたらすのでしょうか?

今回は、2017年に電通を退職したアルムナイで、現在電通に対してサービス導入の提案をしているという株式会社ビデオマッチングの満居優さんと、満居さんの提案を受けている電通の現社員、キャリア・デザイン局の大門孝行さんにインタビュー。

インタビュー中、「まだ残念ながらサービス導入には至っていませんが、これまで12年間尽くしてきた古巣電通のことです。そろそろ導入してくれると信じています(笑)」なんて冗談を発する一幕も。満居さんが電通社員だった頃は全く接点がはなかったというお二人ですが、すっかり打ち解けている様子が伺えました。

「アルムナイは古巣とつながった方が良い」と断言する満居さんと、アルムナイから営業を受けることをウェルカムだと語る大門さん。アルムナイとビジネスで連携することの意義を、お二人はどう感じているのでしょう?
>電通の「アルムナイとのネットワーク創り」への取り組みはこちら

 

アルムナイとして電通をつかい倒したいし、同時に応援もしたい

 

—  2017年に電通を退職後、電通との関係はどのようなものだったのでしょうか?

満居:「電通という会社」との関係でいうと、2017年に辞めてから1年ほどは接点がなかったんです。僕が2018年に起業して、就活生と企業が動画をもとに双方向でアプローチできるマッチングサービス『VIDEO MATCHING』を始めたのですが、仲良くしている電通人事部の後輩を通じてそのサービスの案内をしたことが、退職後初の接点となりました。

ただ、「電通の社員やアルムナイ」との接点は結構あったんですよ。電通を辞めてからも1〜2ヶ月に1回は同期や後輩、また僕のように電通を辞めたアルムナイとプライベートで会っていました。社員数も卒業生の数も多い会社なので、どこかでつながることはよくあるんです。そういう意味では「電通から離れた」っていう感覚はあまりなかったですね。

— 大門さんとは、どのような経緯でつながったのでしょうか?

満居:実は、僕の妻が現在も電通の社員で、大門さんと同じ局で働いていたことがあるんです(笑)。「電通にもっとサービスの話をしたいんだけど、だれかいい人はいないか?」と彼女に相談したことがきっかけで、大門さんとお会いすることになりました。

大門:満居くんが電通に在籍しているときは全く接点がなく、その時が初対面でした。でも、電通アルムナイであることはもちろん、満居くんのパートナーのこともよく知っているので、心理的な距離感なくお話させていただきました。

 


— 古巣である電通に営業をすることに対して、気まずさや遠慮など、心理的なハードルは感じなかったのでしょうか?人によっては辞めたことに対して後ろめたさを感じることもあるかと思うのですが。

満居:僕は全くなくて、むしろ「電通にガンガン持っていこう!」くらいの気持ちでいましたし、「辞めたからこそいろいろ相談しよう。素直に助けてもらいたい!」と思っていました。起業したての頃やローンチしたばかりの新しいサービスって「初回はタダで良いのでぜひ使ってください」と営業することもありますが、僕は最初から普通に営業するつもりで案内させてもらっています(笑)。むしろ助けてください!というニュアンスです(笑)

— 大門さんは「古巣なんだし、無料にしてよ」とは思わなかったですか?

大門:商売ですからね(笑)。最初は無料で使ってくださいという会社もありますけど、それは会社のスタンスの問題なので、私がどうこう言うことではないと思っています。
それに、もちろんお互いにWin-Winであることが前提ですが、私はアルムナイからサービス提案や営業を受けるのはウェルカムなんです。実際に満居くんの提案も、電通の中を知っているからこその内容で、納得感のあるものでした。

満居:僕は新卒等の若手人材の採用サービスを運営しているわけですが、外から見ると、電通ってなんか謎めいているというか、実態が見えないように思っていて。特に学生にとっては、大きい会社ですし、それだけで一定の距離を感じると思うんです。
でも、電通って実は親しみやすくて懐の深い会社なんですよ。得意分野を持つ部下を年配の上司が素直に頼っていたり、電通アルムナイがやっている雑居ビルの居酒屋に電通社員が集まって飲んでいたり……。『VIDEO MATCHING』でそういった姿を見える化して、リアルな「素の電通」をなんとか学生に届けたいと思って提案したんです。僕自身、アルムナイとして電通を外から応援したいという想いも純粋にありましたね。

 

現社員がアルムナイに営業先を紹介し、訪問に同行。
お互いに助け合うスタンスを大切にしたい

 

大門:実は『VIDEO MATCHING』の案内を受けた時、他にもマッチしそうな会社が数社思い浮かんだので、満居くんに紹介したんですよ。

満居:紹介って、通常はメールなどで両者をつないで終わりじゃないですか。でも大門さんは訪問に同行してくれたんですよ。すごくありがたかったです。紹介先の会社の方も「大門さんがきちんと紹介してくれている人だから大丈夫だろう」と信頼して話を聞いてくださるので、本当に助かりました。
だからこそ、もし大門さんから何か依頼をされたら、僕も協力したいと思っています。「借りた恩を返す」というのは電通の良い社風なんですよ。見返りを求めて恩を売ったり強制的に恩返しをさせたりといったものではなく、自然に根付いている文化で、これも電通の良いところだなと思います。

大門:すぐには無理でも、長い目で見ていつか必ず恩を返そうという文化はありますね。アルムナイネットワークもそうで、短期的な視点でのメリット・デメリットで見るのではなく、「電通とアルムナイがお互いに助け合い、支え合っていこう」というスタンスを大切にしたいと思っています。

満居:電通のアルムナイや社員と関わることの心地良さの一つに、「共通認識・共通言語がある」というのがあります。「助け合う」とか「借りた恩は返す」というスタンスを、わざわざすり合わせる必要がない。一緒に仕事をする上でもやりやすいですし、話が早いですね。

 

大門:私が満居くんと初めて会ってからまだ3〜4ヶ月ほどですが、「彼も電通で私と同じ経験をしたんだな」という想いがあるだけで、打ち解けるスピードも、話が進む速度も早いです。このスピード感はアルムナイならではだと思います。実は、2020年卒の新卒採用のコンセプトが「電通を、つかえ。」で、満居くんはアルムナイとしてまさにそれを体現してくれているなと(笑)

このコンセプトには、いわゆる「雇用」という言葉から連想されるような主従関係ではなく、パートナーのような立ち位置で電通に入り、「どんな人とでも、つながろうとすればつながれる」業態である電通を自由につかってほしいという想いが込められています。

入社前の学生に向けて今の電通を分かりやすく伝えることを目的としたコンセプトですが、私はアルムナイに対しても同じ想いを持っています。満居くんのように、ぜひ電通をつかってほしいですね。

満居:大門さんはこう言ってくれていますが、実際に僕のように電通に何か相談をしたり、積極的に営業をしたりしているアルムナイはまだまだ少ないと思います。それは、単純に「つかう」という発想がなかったり、電通の社外の人間になったことで対等な目線ではなく「電通さん」と少し見上げて捉えてしまったりする人もいるんじゃないかと。

でも、僕は電通の良さって懐の深いところだと思うんですよ。「いつでも相談してきていいよ、受け入れるよ」というアルムナイに対する電通のメッセージが、きちんと伝わればいいなと思います。「電通を、つかえ」のメッセージを就活生に届けるように、アルムナイにも届けてほしいです。

 

電通には「たまに行きたくなるお店」のような存在でいてほしい。


— 満居さんのように電通をうまくつかっているアルムナイは少数だとおっしゃっていましたが、電通をつかうことに遠慮や躊躇をしているアルムナイに伝えたいことはありますか?

満居:電通と積極的に関わった方が絶対にいいというのは伝えたいですね。特に僕のような起業をしたアルムナイは、「辞めたからには頼ってはいけない」とか「成功して電通と渡り合えるようになってから会いたい」という想いを持っている人も多い印象です。「覚悟を決めて辞めたんだから頼らない」と腹をくくる気持ちも分からなくはないですが、僕個人としては「そういうのっているのかな?」と思う。

電通はそんなこと気にもしてないですし、そもそも起業したんなら早く会社を成長させた方が自社の社員の給料も上げられるわけじゃないですか。それであれば自分から謎の壁を作らず、頼れるものは全部頼って、甘えるところは甘えて、使えるものは全部使った方がいい。

大門:頼らずとも上手くいっているのならいいのですが、退職後、誰にも頼ることができず、仕事も上手くいかず……と孤独になってしまうくらいなら、ぜひ古巣を頼ってほしいです。そういう時に助けを求められる場としてアルムナイネットワークがあると思うんです。人間、一人では生きていけませんから。

 

— アルムナイにとっての電通、電通にとってのアルムナイは、今後どのような存在であってほしいと思いますか?

満居:電通には、「たまに行きたくなるお店」のような存在でいてほしいです。「ここに来たらいつでも誰かしらいるよ」というゆるい居場所になると、長期的に良い関係でいられるように思います。とはいえ、ビジネスの場合はきっちり両者にとってプラスになることを行うというメリハリが必要ですが。

大門:このつながりそのものが、宝だなぁと感じます。アルムナイ専用のシステム『Official-Alumni.com』の名簿一覧を見ていると、どんなアルムナイがいるのかがどんどん可視化されていく。「電通アルムナイにこんな人がいたんだ!」「この人はこの領域でこんなことをしているんだ!」という発見があって、その多様性がとても面白いですね。

満居:これはアルムナイを代表して大門さんへの提案なのですが、「元電通」っていうブランドを一緒に創っていきたいです。「元リクルート」「元サイバーエージェント」など、卒業生であること自体が一つのブランドになっている企業って結構あるじゃないですか。でも、「元電通」ってあまり聞かないんですよね。電通の人って優秀だよねと言われることはあっても、電通「出身」の人って優秀だよねと言われる機会が少ない気がしています。

電通もこういうブランディングが上手くできれば、電通のアルムナイネットワークに参加するアルムナイも増えると思いますし、アルムナイの立場からしても、他のアルムナイにこのネットワークを伝播しやすくなる。中にいる電通社員と、外に出ていった元電通社員のトータルでみた「電通クオリティ」がブランドになるのだと思います。僕自身、電通アルムナイとのつながりも積極的に持ちたいんですよ。在職時に接点がなかった方でも、近しい領域で働いている方とは特につながりたいです。

大門:そうなんですよね。電通は非常にダイバーシティに富んだ会社なので、アルムナイもいろいろな人がいるんですよ。満居くんのような起業家に、大学の教授、個人で創ったものを国内外でBtoCで売っている人、居酒屋などの飲食系、電通と同じ広告業界で今も働いている人……。そんな多様なアルムナイとつながりを持てたら、それはアルムナイにとっても、社員にとっても大きな価値になると思います。

会社として公式にアルムナイネットワークを創ってからまだ日が浅いですが、私自身、今後がとても楽しみなんです。将来的には6万人の電通グループを超えるネットワークにしていきたいという野望もあります。これからアルムナイネットワークでどんなことを仕掛けていくのか、電通社員・アルムナイともに、ぜひ楽しみにしていてほしいですね!
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取材・文:築山 芙弓
編集  :天野 夏海
撮影  :根岸 泰宏

 

編集後記


アルムナビ編集部
築山芙弓

大門さん、満居さんが電通アルムナイネットワークの未来について、意見やアイディアをバンバン出し合っている様子はまさに「仲間」。社外の人という雰囲気はなく、アルムナイネットワークについてや「元電通」ブランドを創っていきたいという共通の想いについて熱く語っていらっしゃる様子が印象的でした。大門さん・満居さんの例をはじめとして、これからどのようなビジネス連携が進んでいくのか、注目です!