ベネッセがアルムナイと現役社員の交流会「ホームカミングデイ」を開催! アルムナイと企業が協業するポイントとは?

1月26日、ベネッセアルムナイと現役社員の交流会「ホームカミングデイ」が開催されました。企画したのはベネッセの社内有志団体「One Benesse」とベネッセ退職者の集まりである「ベネッセアルムナイ」のメンバー。アルムナイから「現役生と交流したい」という声が上がり、One Benesse発起人で現役生の佐藤徳紀さんが中心となって社内調整を行ったそうです。

>One Benesse発起人2名のインタビュー記事はこちら

アルムナイ交流会の開催は5回目ですが、これまではアルムナイ同士での集まり。現役社員とアルムナイの交流は今回が初めてのことです。

佐藤さん「当社社長には事前に開催目的として『価値創造のための連携をしたい』旨を伝え、それならやらない理由はないだろうということで了承を得て、開催が決まりました。最初は社外の会場を借りる予定でしたが、ベネッセのオフィスで実施することによって『ベネッセアルムナイと現役生との連携を目指す』という姿勢が明確になる。それで東京本社での実施となりました」

会社を辞めたアルムナイが古巣のオフィスに足を踏み入れることはなかなかないもの。アルムナイにとって貴重な機会になったのではないでしょうか。

One Benesse発起人、現役社員の佐藤徳紀さん

ホームカミングデイは佐藤さんのあいさつからスタート。

佐藤さん「卒業生同士が交流することで、ベネッセの企業理念である『よく生きる』を再定義したいと思っています。会社の外側にいるアルムナイと語り、ともに支え合う場とし、未来に目を向けて協業する。そうやって新しい価値を創造できればと思っています」

その後はベネッセとアルムナイのコラボ事例について、2組から発表がありました。最初に登壇したのは、現役生の芦野恒輔さんと、ソーシャルメディア「ALIS」の運営及び、企業向けブロックチェーン開発支援を行う株式会社ALISのCMO・水澤貴さんです

芦野さん「ベネッセで営業職として働く中で、もっとベネッセは学校、先生、生徒に貢献できるのではないか?」という想いを持っていました。そんな話を上司や同僚にしていたところ、上司から『社外の人と新しい教育サービスを考えること、できる?』と聞かれて。その一言が今回のコラボのきっかけになりました」

コラボ事例の発表を笑顔で聞く現ベネッセ社員とベネッセアルムナイ

芦野さんと水澤さんは2009年入社の同期。芦野さんは「彼が新規事業やテクノロジーの知見を一番持っているのでは?」と考え、水澤さんを誘って飲みに行ったところ意気投合したそうです。

水澤さん「私はベネッセ7年、リクルートで3年働いた後に仲間とALISを創業しました。ベネッセで培ったマーケティングの基礎・基本が土台にあったおかげで起業後もなんとか戦えている実感があります。そのため、取材で経歴を聞かれた時はベネッセ出身と話しています。でも実際の記事では『リクルート出身』と書かれてしまう。これが正直悔しい。なので自分の経験をシェアすることで、少しでも『ベネッセ=新規事業に強い』という世間の純粋想起獲得に貢献できるなら嬉しいです」

ベネッセへの想いを語る、ベネッセアルムナイでALISのCMOの水澤さん

こうして半年間、新たな教育サービスの可能性を模索した2人。具体的には、「オープンイノベーションで、教育のビッグデータを使った新規事業はできないか」をテーマに、学校の教員、エンジニア、最新テクノロジーに知見のある識者の方々を集め、社員と共に2日間の合宿を実施。日本の教育はどうあるべきか議論を重ね、サービスのプロトタイプを作成しました。現在はベネッセ内で実証研究を検討中です。

アルムナイの水澤さんと取り組んだ教育サービス開発について話す、ベネッセ現社員の芦野さん

水澤さん「今回ベネッセと組んだのは、現場の先生の声も含めたデータを扱えることが大きかったです。これは当社が持ってない明確な価値。あとはベネッセで学校教育に関わる方々の熱意がすごいんですよ。学校教育に少しでも貢献したい思いを根本に感じました」

2人が考える、ベネッセとアルムナイの連携のポイントは「共創者に熱意があること」「イシューが明確であること」「リスクを取れること」の3つ。

水澤さん「そこに明確なイシューと熱意があることが重要です。そして、新しいことをするのにビビってはダメ。双方ノーリスクはありえないじゃないですか。思考しつくすと自然とそうなると思っていますが、『誰に何を言われてもやる、もしダメなら上司に謝る』くらいのスタンスでこれまでの安心・安全を捨てる覚悟は必要です」

芦野さん「半年で実証研究の計画まで持ってこられたのは、ビジョンが一致していたからだと思います。本気で形にする意思がお互いにあった。信念を持って行動できるかはポイントですね。OBと久々に何かやろう、みたいなテンションだったら上手くいかなかったと思います」

「ビジョンの一致」が大切だと語るベネッセ現社員の芦野さん

続くコラボ事例発表の2組目に登場したのは、ベネッセの英語教室「BE studio」で英語イベントの企画開発を担当する都筑麻子さんと、プロと一緒にできる体験学習のプラットフォーム「ギフテ!」を立ち上げた菅野高広さん。1月12、13日にコラボ企画として「英語でYouTuberになる」という体験授業を行いました。

都筑さん「イベントは、コンテンツ開発から運営までを4人でやっています。 BE studio独自だけでなくベネッセのリソースも使ってはいるけれど、自分たちだけでコンテンツの種類を増やすのは限界がある。そこで協業先の一つとして、菅野さんと一緒に取り組むことになりました」

協業の経緯と感想を話すベネッセ現社員の都筑さん

菅野さん「もともとギフテ!にも英語に関するプログラムはあって、好評だったんですけど、英語の体験授業に関心のある人はそれほど多くなかったんです。当社としても対象となる会員がたくさんいるBE studioとのコラボはウェルカムでしたので、二つ返事でOKしました」

自己紹介をするベネッセアルムナイで、みらいスクール代表取締役校長の菅野さん

コラボレーションした感想を、2人は次のように話します。

都筑さん「会社を離れても、『子どもの人生を良くしたい』想いは一緒ですし、アルムナイだからこそ社内事情への理解もあるので、話が早かったですね。実は今回のコラボは別の会社の方にご紹介いただいたのがきっかけで、最初に連絡を取った時は菅野さんがベネッセアルムナイだとは知らなかったんです。どこで誰が何をやっているのかがわかれば、もっとスムーズにこういった協業ができるはず。アルムナイとコンタクトが取れるツールなどがあればありがたいと思いました」

菅野さん「今回の体験授業を受けてくれた方の中には、別の体験授業を受けてくれる方も多く、親和性が高かったです。大手企業と組むことでブランド強化もできましたし、意思決定までのスピード感もあった。これまでにいろいろな会社とコラボしましたが、会員へのフォローはベネッセが一番手厚かったです。

ただ、ベネッセ自体が外部との事業連携に積極的じゃない印象はあり、そこはハードルかなと思います。商品的にもコラボの必要性があまりないので、外部から提案はしにくいんですよね。だからこそ自ら外部連携の動きをする方が合っている気がします。スモールサクセスでいいので、こういう例を作っていくことが大事だと思いますね」

現役社員からも積極的に質問があがりました

2組の発表のあとは、交流会。受付で配布された名札の色はアルムナイと現役生で分かれており、また名簿を配布するなど、交流しやすい工夫も。アルムナイの方に参加した理由を聞いてみると、「また一緒に教育関連の仕事をしたい」との答えが返ってきました。

ベネッセのアルムナイで、co-step代表取締役CEO兼ディレクターの林諒さん

林さん「現在はマーケティングの会社をやっていて、起業して6年目になります。事業は直接教育と関係があるわけではないのですが、自分の強みである教育に関する活動を再びやりたいと思い、今回参加しました。水澤さんの話を聞いて、教育への熱量を失いかけている自分に気がついたので、今日新しいつながりを作って帰りたいと思います」

たとえ教育事業から離れても、「教育」は現役生とアルムナイに共通する関心ごと。同じ会社で働いていただけでなく、目指すところが一致しているからこそ、今回発表されたようなコラボ事例が生まれているのだと感じました。

イベント中にはアルムナイから現役生への率直な意見が飛び出す場面もありましたが、言葉の端々から「ベネッセにもっといい会社になってほしい」という愛が垣間見えました。「ベネッセの状況を気にしてくれていたり、育ててもらった恩を返したいと思ってくれていたりするアルムナイがたくさんいる」と現役生の佐藤さんは言います。

佐藤さん「今日こうして集まったことで、新たなコラボやビジネスが生まれたらいいなと思います。いつか世の中に『ベネッセアルムナイと事業連携』みたいなリリースが出せたらうれしいですね」

取材・文/天野 夏海
撮影/築山 芙弓