4社の事例から探る!新しい採用チャネル「カムバック採用」で即戦力人材を狙うには?

元従業員を再び雇用する、カムバック採用。経験者かつ、優秀な人材に絞って採用活動を行いたい企業にとって、メリットが大きい採用手法です。

>>コロナ禍の今、即戦力人材を狙う人事が「カムバック採用」に目を向けるべき理由

実際にカムバック採用を制度として導入する企業も増えてきています。

>>カムバック制度がある会社をチェックする

では、カムバック採用に成功している企業は、どのような取り組みを行っているのでしょうか? 4社の事例を紹介します。

事例1. Z社(小売業/従業員数15,000~20,000人)

店舗での販売員が多く在籍しているZ社には、妊娠・出産や育児、パートナーの転勤など、ライフスタイルの変化によって退職する人が数多くいました。また、就職をきっかけに退職する学生のアルバイト社員も。

そんな中、退職者からの「もう一度Z社で働きたい」という声が多く上がったことから、カムバック採用制度の導入を決めました。

制度を導入する以前は、出戻りの従業員は新人として扱われ、評価も一からやり直す必要がありましたが、制度化に伴い評価制度を刷新。在籍時の評価からスタートできるようになりました。

結果として、カムバック採用を制度化してからわずか1年で300人以上の元従業員が復職。採用ができただけでなく、退職後に得た経験やスキル、外の視点を基に、復職した人たちが「Z社での当たり前」に疑問の目を向けてくれる点もメリットだと感じているそうです。

また、カムバック採用制度を公式な制度として明文化したことで、採用面接や社内の面談で、候補者や社員が将来のキャリアについて語りやすくなる効果も。

Z社のカムバック採用が順調な理由として、制度導入以前から「元従業員が戻りたくなる会社」であったことが挙げられます。カムバックした従業員からの意見を歓迎していることからもわかるように、異なる価値観を受け入れる社風も再入社を後押ししていそうです。

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事例2. Y社(IT業界/従業員数10,000~15,000人)

Y社は「社員の高齢化」という課題を抱えていました。将来的に社員数が右肩下がりになることは明白であったため、採用を強化することに。優秀な人材を確保し続けることが不可欠だと考え、これまでは新卒採用が中心でしたが、中途採用にも力を入れることになりました。

しかし中途採用数は思いの外伸びず、苦戦。そこでY社が取り組んだのが、カムバック採用制度の見直しでした。

Y社には元々、配偶者の転勤、育児・介護など、止むを得ない事情で退職した人を対象としたカムバック採用制度がありましたが、候補者数を拡大するために対象者の条件を緩和。中途採用ページ内に元従業員向けの「カムバック採用ページ」を作成し、同時にプレスリリースを出しました。

結果、プレスリリース配信後間もなく20名弱の問合せがあり、優秀な元従業員2名の採用に成功。主に人材紹介会社経由で採用をしていたB社にとって、破格のコストでの採用となりました。

ただ、応募を得られたのはプレスリリースによって一時的に露出が上がったことが大きく、現在は月0〜1名程度の問い合わせ件数に落ち着いています。

継続的に応募を確保するには、カムバック採用のアルムナイからの認知を拡大することが不可欠です。Y社は現在、カムバック採用の促進を目的に、アルムナイとコミュニケーションを取るためのアルムナイネットワークの構築を検討しています。

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事例3. X社(製造業/従業員数5,000~10,000人)

従来より退職者の再雇用制度自体は存在していたものの、形骸化していたX社。より多様な能力・経験を持った人を集め、ビジネスを発展させていく必要性から、制度刷新が決定しました。

そこで、幅広く退職者とつながりを持つことを目的に、アルムナイネットワークをつくることに。アルムナイ特化型クラウドシステム『Official-Alumni.com』を導入し、再入社を考えていない人も含め、退職者に登録の案内をスタートしました。

すると間もなく、システムに登録したAさんから「ウェブページのキャリア採用の求人はアルムナイも応募可能か」という問い合わせが。Aさんにアルムナイネットワークの案内が来たのは、ちょうど仕事探しを開始したタイミング。その後応募、選考をへて、再入社が決定しています。

カムバック採用を促進するには、アルムナイが「戻りたい」かつ「戻れる」状態にある時に、会社側がポジションが募集中であることを示したりミュニケーションを取ったりと、何かしらアルムナイと接点を持つ必要があります。Xさんのケースはまさに「戻りたい時に会社から接点があった」ことが功を奏した例です。

また、X社はアルムナイネットワーク登録時の質問項目に「再入社を希望するか」という設問を用意しています。

登録時に再度X社で働く道があると明示することで「再び受け入れてもらえるんだろうか」という再入社希望者の心理的ハードルを下げ、さらに再入社希望者の可視化に成功しています。

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事例4. W社(クリエイティブ業界/従業員数5,000~10,000人)

もともと有志のアルムナイが運営する非公式のアルムナイネットワークがあったW社。「現従業員とも交流したい」という声があがったことをきっかけに、会社としてアルムナイとの関係構築に取り組むことが決まりました。

アルムナイからのアルムナイネットワークへのニーズが多岐に渡ったことから、まずはW社とアルムナイをつなぐプラットフォームを用意すべく『Official-Alumni.com』を導入。

さまざまなトークルームを設け、その一つに「求人」をテーマにしたトークルームを用意し、アルムナイ専用の限定求人を公開しました。すると、長年W社に在籍していたベテランの元従業員Bさんから応募があり、無事採用に至っています。

こちらもBさんが働きたいタイミングで求人の案内ができたことが大きな要因。また、アルムナイネットワーク内で「アルムナイ専用求人」として募集の告知をしたことが、再入社希望者の心理的ハードルを下げることにつながっています。

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まとめ

4つの事例を見てきましたが、継続的にカムバック採用をするためのポイントは定期的にアルムナイとコミュニケーションを取る」こと。実際にアルムナイ向けの施策を用意している会社とそうでない会社を比べると、アルムナイの再入社の意向には大きな開きがあることがわかっています。

パーソル総合研究所「コーポレート・アルムナイ(企業同窓生)に関する定量調査」より

退職後の相互理解を深め、関係を構築することは、カムバック採用枠に応募するハードルを下げるだけでなく、再入社後のギャップを埋める効果も期待できます。実際に再入社をした人からはこんな声も上がっています。

レジェンダ・三宅:そうですね。でも信頼関係があったからこそ、入社して3日後にはフルリモートで問題なくやっていけたと思います。また、私が再入社後にあまりギャップを感じなかったのは、レジェンダがアルムナイに対して情報発信をしてくれていたおかげだと思っています。

「会社を通じてつながる価値が生まれつつある」レジェンダが退職者との関係構築を強化して得たもの』より

人材の流動化が進み、転職が当たり前になれば、自社の退職者はどんどん増えていきます。年々増加する退職者を「ただの退職者」と見なすのか、それとも「再び自社で働く可能性がある採用候補者」として考えるのかで、長期的な採用戦略は大きく変わるもの。

人生100年時代の新しい採用チャネルとして、カムバック採用に着目してみてはいかがでしょうか。

ABOUT US

アルムナビ編集長
2009年株式会社キャリアデザインセンターに新卒入社。求人広告営業、IT派遣コーディネーターを経て、働く女性向けウェブマガジン「Woman type」の編集者として勤務。2015年末に退職し、フリーランスに。2019年4月、業務委託でアルムナビ編集長に就任し、2020年10月より運営元の株式会社ハッカズークに“8割正社員”として入社。現在もキャリアデザインセンターの各種媒体の企画・編集・執筆にアルムナイとして携わる。