ベネッセコーポレーションの有志たちが2015年に立ち上げた「One Benesse」は、社員同士が有機的につながり合い、まなび合い、とがり合うことで、企業理念である「Benesse=よく生きる」の実現を目指す団体だ。その根底には、メンバー一人ひとりの「何かを変えたい」という意思や、「誰かの役に立ちたい」という志、そして共有し合えるビジョンがある。果たして、この活動を通じて会社や社員はどのように変わったのだろうか。発起人である同社ベネッセ教育総合研究所の佐藤徳紀氏と、その活動を支えるベネッセの須藤淳彦氏、グループ会社プランディットの並木瑛子氏に、立ち上げの経緯や活動内容、今後の展望などを語っていただいた。
ベネッセの社内有志活動「One Benesse」が目指す社内改革に迫る。“ナナメ”の関係づくりは会社にどんなプラスをもたらすのか

閉塞感のある毎日を打破し、ベネッセらしさを取り戻すために

──まずは「One Benesse」の概要および全体像についてお聞かせください。

佐藤
 「One Benesse」とは、会社の理念である「Benesse=よく生きる」の実現を目指し、社員同士が有機的に“つながる”こと、自らを高めるために“まなぶ”こと、そして意志を持って“とがる”ことを支援するベネッセグループの社内有志団体です。メンバーは入社1年目の若手から、中堅、ベテラン社員まで幅広く、また内定者やアルムナイなども巻き込んで、企画したイベントを通してこれまでに延べ1000名以上が参加。社内外の多様な人々との交流を通じて、既存のタテ・ヨコの関係性ではない、“ナナメ”の関係性を築きながら活動しています。

──そもそもどのような背景や経緯で発足したのでしょうか? また活動の狙いや目的についても教えてください。

佐藤
 2015年9月、私を含めたベネッセの4名と、大企業の若手有志が参加する日本初の団体「ONE JAPAN」の共同発起人で、当時パナソニックに勤務していた濱松誠氏とで、お酒を飲みながら話し合ったのが始まりです。

当時私たちは、社内にはチャレンジを後押しする環境や自由に意見を言い合える雰囲気があまりないという閉塞感を日々感じていました。さらに前年に起きた個人情報流出事件によって業績が悪化し、尊敬する先輩・同期の退職が重なった時期でもありました。人材流出を防ぎたい、理想的なベネッセらしさを実現したい、入社当時の心の火を消したくない。そんな思いをずっと抱えていたのです。

そこで、当時すでにパナソニックで「One Panasonic」という有志団体を立ち上げていた濱松氏に相談しました。その結果、同様に濱松氏にコンタクトを取っていた「同じ課題意識を持つ社内の仲間」と出会うことができました。そこで、「ベネッセの中で仕事だけではないつながりを作り、前向きに色々なことに取り組むための組織を立ち上げよう」という話になりました。当初の狙いとしては、社員の退職率の低下やモチベーションの向上などを掲げていたのですが、現在はそれだけではなく、アウトプットやアクションの数、退職した人々のエンゲージメントなども重視しています。

──並木様と須藤様はどのようなきっかけで参加されたのですか?

並木
 私はもともと佐藤の入社時の初任者研修担当で、顔見知りだったのですが、その後は仕事を一緒にする機会はありませんでした。ところがあるとき、社外の勉強会に参加したら、たまたま佐藤に出会ったんです。そのときに「社内に有志団体を立ち上げたので参加しませんか?」と誘われました。私自身、社内に知り合いが増えるのは純粋に楽しそうだな、と思ったことで参加を決めました。

須藤 私は佐藤が立ち上げたメンターの企画を知り、「メンターとして参加したい」と佐藤に話したのがきっかけです。最初に企画の話を聞いたとき、一人ひとりがナナメの関係性を作っていくというビジョンにとても興味を持ちました。私自身ちょうどキャリアコンサルタントの国家資格を取得したところだったので、その腕試しも兼ねて協力できればと思いました。

会社や社員を巻き込むために行っていることとは?

この記事にリアクションをお願いします!