元上司と商談で再会!円満退職した人が振り返る、より良い辞め方をする改善ポイント【私の退職体験記.2】

連載「私の退職体験記」
みんなの会社の辞め方を深掘り!円満退職できた人、悔いの残る辞め方をした人……。いろんな退職体験談から「よりいい会社の辞め方」のヒントを見つけましょう!

連載2回目に登場するのは、新卒で入った大手ECサイト運営企業で人事として働いたのち、理系学生に特化した新卒採用サービスを運営するベンチャーに転職した山永さん。

転職後は前職の元上司へ現職のサービスの営業をしたり、人事の元同僚と仕事の情報交換をしたりと、公私共に良い関係なのだとか……!その要因は何なのでしょう?

新卒採用サービス運営企業
山永 航太 さん
新卒で大手ECサイト運営企業に入社。人事部に配属となり、主に新卒採用を担当。その後、人事部内の人事部長直下のチームに異動し、人事企画を担当した後、2019年12月に同社を退職。現在は理系学生に特化した新卒採用サービスを運営するベンチャー企業にて、主に大手企業向けの採用コンサルタントとして従事

退職のきっかけと退職までのスケジュール

——まずは退職体験をお話いただくECサイト運営企業でどのような仕事をしていたのか、教えてください。

前職には3年9カ月在籍していたのですが、そのうちの3年半は人事として新卒採用に従事していました。その後異動し、人事企画として社内で新しい人事施策・制度を推進するような仕事を3カ月ほど経験しました。

——退職のきっかけはなんだったのでしょう?

きっかけの一つとして、異動をしたことは大きかったと思います。

人事企画に携わったことで、これまで採用担当として見ていた世界よりも広い視野で会社を見ることになったことがとても勉強になった一方で、「できあがった組織だな」と感じて。一定の歴史があって、これまでに会社をつくってきた人たちがいるんだなと感じ、自分も会社をつくる側になりたいと思いました。

もう一つ、異動をしたことで直属の上司が人事部長になるなど、これまでよりも上のレイヤーの方々と関わることが増えたんです。それは非常に良い経験になったのですが、やっぱり20代半ばの自分には上の人たちの考えていることが全く分からなくて。

経営層の考えていることを理解するには、自分が経営側に回って経験をする必要があると感じ、転職を意識するようになりました。

——退職を切り出してから辞めるまでのスケジュールを教えてください。

2019年12月末に退職をしたのですが、転職を意識し始めたのは9月頃で、10月には他社ベンチャー企業に勤める友人に相談を始めていました。

そうしたら、ありがたいことにいくつかの会社から声をかけていただいて。本格的に転職をすることに決めました。10月3週目には転職活動を始め、まだ転職先は決まっていなかったのですが、4週目に上司に退職を切り出したという流れです。

——退職を切り出したときの上司の反応はどうでしたか?

やはり驚いてはいました。でも、「え、辞めるの?」という感じで、取り乱す感じではなかったですね。「ちゃんと次を決めてからの方がいいよ」と冷静にアドバイスをしていただきました。

——なぜそのような反応だったのだと思いますか?

その上司にも転職経験があったのは大きいと思います。その後の退職までのプロセスも非常にスムーズに組んでくださり、ありがたかったですね。

ただ、冷静な反応すぎて少し寂しさはありました(笑)。私がその上司の部下だった期間はとても短かったので仕方ないですけどね。

退職を振り返って思うよかった点、反省点

——今振り返って、納得のいく辞め方はできましたか? 

おおむねできたと思います。退職して約1年が経つ現在も前職の人たちは良い関係が続いています。

——お話いただいた辞め方をして、特によかったと思うことはありますか?

最も長く在籍していた新卒採用チーム時代の上司や同僚と、退職前に1on1で話ができたことです。直接退職の旨を報告できましたし、お世話になった感謝を伝えることもできました。

一人一人に想いを伝えられるように、退職が決まってからの業務に余裕をつくるなど、退職準備の時間をくださった当時の上司にはとても感謝しています。

——反対に、後悔していることは?

2つあって、1つは自分が採用した学生の入社を見届けられなかったこと。もう1つは、初めての退職で、お作法も分からずバタバタしてしまったことです。

引継ぎがバタついてしまい、もしかすると退職時のごあいさつメールを送るべき人に送れていなかったかもしれないとか、直接伝えるべき人に伝えられなかったかもしれないという思いがあります。それは申し訳なく思っていますね。「感謝を伝える」ことはもっとやっておけばよかったです。

これから退職する人へのアドバイス

——辞めてから1年がたちますが、今は前職とどのような関わりがありますか?

仕事関係でいうと、現職のサービスをご活用いただきました。

私も商談に入らせていただいたのですが、商談相手が自分が前職に入社しときの最初の上司の方で。とてもうれしかったですし、感慨深かったですね。

——お話いただいた退職体験を踏まえて、もしも次にまた退職をすることがあったら生かしたいことはありますか?

2つあって、1つは全員に直接ごあいさつをして、感謝の気持ちを伝えたいです。現職はベンチャー企業で人数もそこまで多くないので、みんなの顔を見て話がしたいですね。

もう1つは、つながりたい人ときちんとつながれるような辞め方をしたいと思っています。というのも、前職を退職した後につながりを持ちたかったけど、持てていない方もいて。

距離の近かった上司や同僚、後輩とはSNSなどでつながっているのですが、たとえばもう少し上のレイヤーの方々となるとSNSではつながっていないですし、いきなり中の人にメールアドレスを聞いて連絡するのも違うなと……。

辞めてしまうと連絡をしにくくなってしまうので、「転職先が決まったら連絡させてください」「こういうときに相談させてください」など、辞める前にご連絡をしたいタイミングをお伝えして、連絡先を伺っておけばよかったなと思います。

——最後に、これから会社を辞めようとしている人に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします!

前職を辞めるとき、副社長から「自己責任だよ」と声をかけていただいたことが心に残っています。これは本当にその通りだと思っていて。

転職して次の環境に慣れるまでは、隣の芝が青く見えてしまうこともあると思うんです。僕の場合は大手企業からベンチャー企業へ転職したので、現職に慣れるまでは前職がキラキラして見えたこともありました(笑)

そんな中で、「自己責任」という言葉が支えになったと振り返って思います。

僕は副社長からその言葉をいただいたからこそ、自分の決断から逃げず、転職した直後に折れそうになったときも踏ん張ることができた。前職は一度退職した人の再入社にもウェルカムな会社ですが、戻るとしても逃げの選択にはしたくないとも思いました。

厳しくも優しい言葉をかけていただいたことに、とても感謝しています。これから転職する方も、自分の決断に責任を持つ気持ちを忘れないことが大切なのではと思いますね。

円満退職のポイント

  1. 身近な人だけでなく、関わった人たちへ幅広く感謝の気持ちを伝える
  2. 隣の芝は青く見えるからこそ、自分の決断に責任を持つ

取材・文/築山 芙弓