人は何月に会社を退職するのか?退職が多い月を考察【アルムナイ入門】

今回のテーマは退職の時季。つまり、人は何月に会社を退職しているんだろう?」「退職が多い月は何月か?」というものです。退職予測も鑑みて、漠然とした印象ではなく、データで確認してみましょう。

リテンションでもアルムナイ・リレーションでも重要な退職時期

人間は思いのほかカレンダー(世の中の動きが集約されたもの)に影響を受けて行動します。

だからこそ人事施策を考える際、例えば以下のような疑問が頭をよぎります。

・企業がアルムナイ・リレーションを構築するとしたら、どの時期にどんなことをやればいい?
・そもそもリテンションを考える際に、考慮すべき時期はいつ?

退職予測というと、「節目」「ボーナス」などの要因が浮かぶので、皆さんそれぞれ漠然とイメージはあると思います。ただ、印象と事実はえてして違うもの。

そこでファクトをアルムナビ編集部でまとめるべく、各種データに当たりました。

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人は何月に会社を辞めるのか?

東京都労働局「一般職業紹介状況(P.7 新規一般常用求職者の様態別推移)」や、厚生労働省「一般職業紹介状況」「長期時系列表」の「求職者の様態別推移」は、仕事を探し始めたタイミングであり、辞めた時期までは特定できません。

そこで今回は、雇用保険の資格喪失のタイミングを「退職」のタイミングととらえることに(厳密に言えば、雇用保険に入っていない人は含まれないということ)。

作成したグラフがこちらです。「雇用保険資格喪失者数(一般被保険者)(平成8年4月~)」のうち4年分のデータを基に作成しています。

「雇用保険資格喪失者数(一般被保険者)(平成8年4月~)」をもとにアルムナビ編集部にて作成
雇用保険資格喪失者数(一般被保険者)(平成8年4月~)」をもとにアルムナビ編集部にて作成

この「雇用保険資格喪失」のタイミングは4月が断トツで多く、7月10月、1月に山があるようです。

つまり、その前月に会社を退職しているということ。「退職が多い月は何月か?」という疑問の答えは、3月を筆頭に、6月・9月・12月に退職するタイミングがあると言えそうです。印象と事実にそれほど差はありませんでした。

退職時季と節目の考察

3月退職の考察

年度末である3月(4月喪失)が、出会いと別れの季節と呼ばれることを裏付けるような結果となりました。

年度末という節目、人事異動のタイミングなどの会社要因、子どもの入学・卒業などのプライベート要因。こういった要素が作用していることは想像に難くありません。

また、年末年始休暇も影響していそうです。一般的に長期休暇中に家族や友達と会うことが人生を考えるきっかけ、変化へ第一歩を踏み出すきっかけとして大きいと言われますが、そこにさらに新年という節目が重なり、3月末を目処に退職を考えるケースも多いのでしょう。

なお、4月(5月喪失)も多いですが、3月末に退職する予定が有休消化を含むさまざまな事情で少し延びたパターンだと思われます。

その他の節目の退職の考察

6月(7月喪失)・9月(10月喪失)・12月(1月喪失)に山があるのは、四半期という区切りが影響していると考えられます。

中でも9月(10月喪失)は上半期末という、年度末に次ぐ大きな節目。3月(4月喪失)に次いで退職が増えるのも納得できます。

一方で、10月(11月喪失)、11月(12月喪失)が年内最も退職が少ない谷になっているのは、冬のボーナスを見越して、12月(1月喪失)までは残るという行動を選ぶゆえでしょう。

片や夏のボーナスはそれほど影響を与えないのか、7月(8月喪失)、8月(9月喪失)はそれほど谷を形成してはいません。

一般企業では夏と冬でボーナス額にそれほど差はない一方、公務員は冬の方が金額が多い傾向にありますが、金額以上に12月は年が切り替わるゆえに大きな節目を感じさせるのかもしれません。

「平成」の終わる2019年3月という大きな節目にはまた違った傾向が見られるのでしょうか。日本の「働き方改革」のターニングポイントとなる可能性もありうる、そんな節目になるのかもしれませんね。

文/アルムナビ編集部